さめはだ舞子です。
突然ですが、あなたはお店で写真を撮るときに『撮影許可』をとっていますか?
また、その写真をブログにアップするときに『掲載許可』はとっていますか?
「撮影OK」であるからといって、SNSなどを通じてネット上で公開(シェア)できるとは限りません。
大手のレビューサイトでさえ、『撮影』や『掲載』を巡って裁判が起きています。
これがあなたのSNSやブログで起きたら?考えるだけでも恐ろしいです。
自分自身を守るためにも、お店レビューにおける『撮影許可』『掲載許可』について考えてみませんか。
- 「撮影NGの貼り紙がない=撮影OK」とは限らない
- 許可をとって“撮影すること”と、
お店の紹介を“掲載すること”は別問題 - 許可をとることは自分を守ること
- 許可をとるときは「名刺」があると便利
もくじ
大手レビューサイトでも『撮影許可』『掲載許可』で裁判が起きている
「食べログ」をはじめとした大手レビューサイトでも、勝手な写真の掲載などによって裁判になることがあります。
とある裁判では、店側は「口コミサイト(ブログ)に載せるかどうかのコントロール権はあくまで店側にあるべきだ」と主張したそうです。
この裁判は結果的に店側が敗訴しましたが、この主張には考えさせられる部分がありました。
誹謗中傷だけに限らず、お店側と情報発信者との間にはトラブルとなる種がたくさん転がっています。
お店の『撮影許可』『掲載許可』とっていますか?
お気に入りのお店の紹介記事をブログに書いたり、SNSにアップことがありますよね。
それは誹謗中傷ではなく、「こんなに良いお店があるよ!」というお店にとってはありがたい(はずの)情報に違いありません。
でももし、その記事がお店の『撮影許可』『掲載許可』をとっていないと知ったら読者のみなさんはどう思いますか?
許可をとっていないということは「無断でそのお店を紹介している」ということです。


という方、ちょっと考えてみてください。
良い感想だよ! |
みんな撮影しているよ! |
---|---|
あなたが言う「良い感想」は、お店側にとって本当に発信してほしい情報ですか? | みんなが撮影しているお店は、絶対に撮影OKな場所だと言い切れますか? |
わたしは元喫茶店店員でもあり、県から依頼されている地域ブログの編集長でもありました。
次からはわたしが経験した両立場の気持ちをご紹介します。
許可をとっていない=無断でお店を公開しているということ
撮影許可:喫茶店店員時代に感じた「店主の悲しみ」
わたしは県内ではちょっぴり名の知れる喫茶店で働いていた経験があります。
小さなお店ではありますが、よく雑誌の取材が入っていました。そのため、若い女性のお客様も多かったのです。
料理が提供されるとまず初めに「写真撮影」が始まります。
撮影している女性たちを見ながら店主のおじさんがそっと呟いたことがありました。


お店には写真撮影NGの貼り紙はしていませんでした。
しかし、「撮影NGの貼り紙がない=撮影OK」とは限りません。
おじさんは「紹介されること」自体にはとても前向きに協力してくれます。
彼が嫌だと思っていることは「許可なく情報が公開されてしまうこと」でした。

一言あるだけで、お店側には「公開NGな部分を教えるチャンス」ができるんです。
- 「撮影NGの貼り紙がない=撮影OK」とは限らない
- 店側にとって勝手に公開されると困ることもある
- 一言あれば店側が「公開NGな部分」を伝えられる
掲載許可:「無断で記事公開するのはブロガーとして恥」と怒られた
わたしが所属していた大学のゼミは、県から地域ブログの運営を任されていました。
ある日、自分が気にいっていた古本喫茶店の記事を書きたいと思い、お店へ。
最初はきちんと許可をとらなければ!と意気込んで行ったのですが、店内の忙しさや雰囲気から、なかなか店主さんに声をかけることができませんでした。
声をかけられないまま時間はすぎ、これではダメだと思い、勇気を振り絞って「写真撮っていいですか?」と声をかけました。
店主さんは「どうぞ」と言ってくださり、店内写真を撮影して退店。
後日、お店の写真を掲載した紹介記事を公開しました。
するとこの記事を見た大学の教授がやってきて、



…で、『掲載許可』は?

そう、わたしはお店に撮影の可否しか聞いていませんでした。
ネットに情報をアップするのであれば、「撮影した写真を“公開すること”、お店の紹介を“掲載すること”」もきちんとお店に伝えるべきだったんです。


この言葉にかなりショックを受けました。自分の無知さに反省しました。
- 撮影許可だけでは不十分
- お店には撮影した写真などを“公開すること”、“掲載すること”も伝えるべき
- 許可をとる勇気がないなら、発信は控えたほうが良い
『撮影許可』と『掲載許可』はちがう
ブログやSNSに記事をあげるのであれば、『撮影許可』『掲載許可』をダブルでとることをおすすめします。
市役所なんかでは書物などの『撮影許可』『掲載許可』それぞれの申請書があるくらいです。
デザインマガジンで有名な月刊MdN2018年2月号では「著作権をめぐる表現と権利の物語」という特集で『撮影許可』『掲載許可』について次のように書かれています。
個人的に楽しむ分には私的複製の範囲内ですが、その写真をWebで発信してしまうと「公衆送信権」を行使したことになり、著作権者の許可が必要となってきます。
上記の例は撮影OKの美術館内の写真についてですが、トラブルを避けるためには店内での撮影・掲載についてもきちんと確認した方が良いでしょう。
また、書店での店内撮影 については各書店に直接、撮影の可否を聞いてくれた方がいました。
以下の記事では、とある書店の回答です。
店舗内におきましては、カメラ、ビデオ等による撮影はご遠慮いただいております。
(中略)
理由は以下でございます。
1)店舗内での撮影は他のお客様が映り込んだ場合など、プライバシーと肖像権に抵触する怖れがあること、防犯上好ましくないこと。(現実に書店内での盗撮は店舗運営上大きな問題となっています)
2)一般に書影の掲出は著作権に触れる怖れがあること。
3)弊社が出店している店舗は駅ビルなどが多く、その場合ほとんどの店舗で店舗内撮影はデベロッパー様(施設管理会社)に取材許可の提出が義務づけられていること。
書店内で平積み本や棚を撮影するのはOK? わからないので直接聞いてみました
https://edi-labo.com/blog/?p=6520
書店や美術館では「著作権」も絡んでくるため、余計にリスクが高いようですね。
- 『撮影許可』と『掲載許可』はちがう
- 書店や美術館での撮影・公開は「著作権」の問題も絡んでくる
お店の「許可をとる」ことは「自分を守ること」
そして、とある法律サイトには以下のようなことが書かれています。
店主が許可していないのに、勝手に撮って公開することは、不法行為になり、損害賠償請求をされることがありえます。
ネットが発達した現在では、写真が権利者の意図に関係なく拡散されることが増えました。そのため、写真を撮る側のモラルも厳しく問われることになります。
ブログ・SNSへの掲載許可をとることは「自分を守ること」にもなります。
もし、許可なく記事を公開し、その記事を店員さんに読まれたらどうなりますか?
喜ばれれば良いですが、「この人の写真は無断です!掲載の許可も出していません!」なんて声があがる可能性もありますよね。
そんなことが起きれば、あなたが手間暇かけたSNSアカウントやブログの信用はガタ落ちです。
- 撮影、掲載許可をとることは自分を守ること
『撮影許可』『掲載許可』をとることで記事のネタが増える可能性もある

わたしも声をかけられずに数時間経過することもありました(笑)
でも勇気をだして声をかける・許可をとろうとすると、お店側から逆に「じゃあこれを書いてほしい」とか「ここだと写真写りがいいよ!」なんて言われることがあります。
お店の方から提供される情報は、あなたが声をかけたから得た「お宝」です。
単なる口コミサイトにはない、あなただけの情報に変化します。そうすると記事の差別化も図れます。

勇気をふり絞った結果、手に入れられる情報が何倍にも膨れ上がる可能性があるのです。
- お店の方から提供される情報は、あなたが声をかけたから得た「お宝」
「名刺」はあなたの心強いアイテム
この記事を公開してから「『名刺』があると良いよ!」というコメントを何名からかいただきました。
わたし自身も「TwitterIDとブログURL」が入った名刺を活用しています。
素性を明かして許可をとったほうが相手の警戒心が緩みますし、掲載予定のブログURLを渡せる形にしておけば、簡単な説明だけで済ませることができます。
また、

撮影したものの、後日やっぱり記事にはしない…という場合ってありますよね。
許可をとるときは「掲載することを約束しない」ことをおすすめします。
許可をとったから必ず掲載しなければいけない、なんてことはありません。

現段階では掲載は確定ではありませんが、もし記事にするとしたら許可はいただけますか?(そして名刺を渡す)
これはあくまで私のいつものパターンですが、こんな感じだとスムーズにお話が進むと思います。
許可をとりたい!でも、NGだったらどうしよう…
この気持ち、痛いほど分かります。断られることを考えると怖いですよね。
でも、ちょっと考えてみてください。
お店が「ご遠慮願います」ということは、そもそもそのお店は「撮影・掲載はNG」だったということ。
つまり、全く確認をしないで掲載していたらトラブルになっていた可能性があります!!

あなたが良い評価で写真を掲載したとしても、それが転用される場合もあります。
転用された先で誹謗中傷されていたら?あなたの無断使用も浮き彫りにされてしまいます。
お店に断られたら、トラブルが回避できたと思えばいいのです!!
よかった!!
関わっているのはすべて「人」
ブログを読むのは「人」。
ブログを書くあなたも「人」。
ブログで発信されるお店も「人」。
発信する側と発信される側の意識の差は思った以上にあります。
読者からもお店からも愛される発信者を目指したいですね!
以上、「店内での『撮影許可』『掲載許可』とってる?撮影OK=シェアOKではない!」でした。
▼こちらの書籍には「著作権」や「引用」などWEBコンテンツに関わる権利について詳しく書かれているのでおすすめです